パロサントとは。南米の乾いた森に育つ「聖なる木」
生きているパロサントの木は、ほとんど香りがしません。
パロサントは、南米の乾いた森に育つ木の名前です。スペイン語で「聖なる木」を意味します。枝を折っても幹を割っても、青々としたままでは香りが立たず、木が寿命を終えて倒れ、長い年月をかけて乾いていく間に、内側の香りがゆっくり育っていく、と言われています。
アンデスの先住民が、この木を燃やしてきた理由
パロサントという名前は、アンデス地方の先住民の間で古くから使われてきました。儀式の場でこの木を燃やし、その煙とともに祈りや願いを届けてきた、と伝えられています。長い時間をかけて人の暮らしの節目に置かれてきた木だということが、こうした話からもうかがえます。
煙が悪いものを遠ざけ、霊的なものを鎮めるという言い伝えもあります。これは信じるか信じないかという話で、私に確かめられることではありません。ただ、長く語り継がれてきた話として、知っておくのはいいことだと思います。現代では、瞑想の前に香りを整える目的で焚く人もいるようです。
香りの印象
パロサントの香りは、レモンやグレープフルーツのような柑橘の爽やかさから始まり、木そのものの香りへと移り、最後にほのかな甘さが残ります。レモンの皮をむいた瞬間に鼻先を抜けるあの感覚に、少し近いかもしれません。柑橘の皮に多く含まれるリモネンという成分が、パロサントにも多く含まれていると言われています。
パロサントには、いくつかの形がある
パロサントの形は、木のスティック・チップや粉・お香などさまざまです。スティックは香皿の上に立てて焚くことができ、チップや粉は香炉の中に置いて焚くのに向いています。焚かずに置いておくだけでも、ほのかな香りが立つものです。小さな塊なら、鞄に入れて持ち運ぶ人もいるようです。
パロサントならではの焚き方
先端に火をつけたら、炎はすぐに手で扇いで消します。パロサントはお線香のように燃え続けず、しばらくすると煙が細くなって、自然に火が消えます。香りを楽しみたい間は、そのたびに火をつけ直すのがパロサントらしい焚き方です。焚いたあとは、耐熱の皿の上に置いておくといいと思います。
窓を開けておくことなど、焚くときの一般的な基本はお香の焚き方の記事に書きました。焚いているあいだの香りの変化はパロサントをお香として焚く記事にまとめています。
「逆効果」と言われることもある
パロサントは、煙を吸いすぎれば気分がすぐれなくなることもあります。窓を閉め切った部屋で長く焚き続けるのは、私はすすめません。
香りの好みは人それぞれで、パロサントの香りが誰にとっても心地よいとは限りません。合わないと感じたら、無理に焚き続けず火を消してください。
鳥をはじめ呼吸の繊細な生きものがいる部屋や、赤ちゃんのいる部屋では、同じ空間で焚くのは避けたほうが無難です。「浄化に使うと、かえって悪いものまで呼び寄せる」というような話を見かけることもありますが、これも言い伝えのひとつです。
ホワイトセージや線香、盛り塩との違い
同じように焚いて使われるものに、ホワイトセージや線香があります。ホワイトセージは草の仲間で、鋭く清涼感のある香りです。木であるパロサントとは、育ち方も香りの方向もまったく違います。線香は複数の原料を練り合わせて作られ、一定のペースで燃え続けますが、パロサントは木そのものを焚くという違いがあります。ホワイトセージについてはこちらの記事に書きました。
盛り塩は、玄関などに置いておく静かなものです。パロサントは煙という動きのあるものなので、置かれ方も役割もだいぶ違います。
採り方に配慮が必要な木
パロサントの人気が世界的に高まったことで、乱獲が心配されるようになりました。現在は、自然に倒れて乾いた木だけを集める採り方が広がっている、と言われています。生きた木を切って集める方法とは違う、時間のかかるやり方です。
私が作るパロサントのお香
私が作るパロサントのお香も、ほんのりとした甘さのある木の香りに仕上げています。木そのものの香りと、焚いたときの香りの両方を、まずは知ってもらえたらと思います。
私が作っているお香は、こちらにあります。