お香の作り方|香司が使う材料と工程
お香は、香りの粉と、固めるための粉を合わせて水で練り、細く形づくって乾かしたものです。材料も工程も、思っているより少ない。
私が作っているお香も、この流れの中にあります。作り手ごとの違いが出るのは、どの材料をどこから持ってくるか、そしてどこを急がないかです。
香りと、固まる力は別の材料
お香の香りと、形を保つ力は、別々の材料が担っています。
香りを担うのは、杉や白檀のような香りのある木、樹脂、ハーブの粉です。私のお香には、パロサント、ホワイトセージ、八女杉の三つの香りがあります。
固めるのは、椨(たぶ)の粉です。タブノキからとる粉で、水を加えると粘りが出て、ほかの粉をひとつにまとめてくれます。私が使う椨粉は、福岡県産・自然栽培のもの。香りの主役ではないので、ほとんど知られていません。
粉にするところから
原料は、水車でゆっくり粉に挽いたものを使っています。電気を使わない、昔ながらの製法です。挽いているのは3代続く工場で、私の仕事場とは別のところにあります。
その椨の粉を、昔ながらの製法で作れる職人は、全国にあと2人しかいません。
お香の作り方の中で私がいちばん知ってほしいのは、じつはこの話です。
水晶の粉を合わせる
私のお香には、ここに山口県産の天然水晶のパウダーを合わせています。クリスタルインセンスという名前は、そこから来ました。水晶は燃えないので、焚き終えた灰の中にも残ります。くわしくは水晶パウダーの記事に書きました。
練って、形にして、乾かす
粉がそろったら、水を加えて練り、細い棒や円すいの形にして乾かします。線香づくりでは昔から、練った生地を小さな穴から押し出して、細い線にしてきました。
いちばん気を遣うのは、乾かすところです。お香を乾かすのは天気との相談で、湿気が多い日は曲がりやすく、乾きすぎると割れてしまう。まっすぐな一本は、その日の空気がつくっているようなものです。
入れないものを決めておく
化学香料、着色料、防腐剤、燃焼剤、凝固剤、アロマオイル。私はこの6つを使わずに作っています。材料が少ないぶん、何を燃やしているのかが、自分でもはっきりわかります。
家でお香を作ってみたくなったら、この順番を思い出してみてください。香りの粉と、固める粉と、水。材料はそれだけで、いちばん難しいのは、たぶん乾かす日を選ぶことです。