盛り塩のやり方と作り方。置き場所と交換の目安
盛り塩は、粗塩を小皿に円すいや八角すいの形に盛って、玄関などに置く習わしです。型があれば、湿らせた型に塩を詰めて、ひっくり返すだけで作れます。
皿に盛った塩は、そのままの形ではいられません。放っておいても、少しずつ姿を変えていきます。
なぜ塩を盛るのか
盛り塩は、古くからある習わしです。塩には穢れを祓う力があると考えられ、商いの家では客を呼び込む縁起物としても置かれてきました。相撲の土俵に塩をまくのも、同じ考え方の延長にあると言われています。牛車に乗った客を呼び込むために、牛が好む塩を店先に盛ったという言い伝えもあり、商売繁盛の縁起物という側面は、そのころから続いているようです。今も飲食店の入り口でよく見かけるのは、その名残りだと言われています。
塩はどれを選ぶか
型に入れてかたちを作るなら、さらさらの精製塩より、水分をわずかに含んだ粗塩が向いています。にがり成分が塩粒どうしをつなぎ、型から外してもかたちが崩れにくくなるからです。原材料が「海水」だけの粗塩を選べば、まず失敗しません。岩塩も悪くありませんが、水分をほとんど含まないため、型で固めるにはやや不向きです。
逆に、食卓塩のような精製塩は水分が抜けているため、型に入れてもすぐに崩れてしまいます。かたちを保ちたいなら、まず塩を選び直すことになります。
形にも意味があるとされてきた
盛り塩の形には、三角錐、円錐、八角錐といった種類があります。三角錐は安定と発展、円錐は円満、八角錐は八方を表す形として、格が高いとされてきました。どれが正しいというより、家や店で受け継がれてきた形があれば、それに合わせるのがいちばん自然だと思います。
型を使った盛り塩のやり方
型がある場合の手順は、次のとおりです。
- 型の内側を軽く湿らせる
- 塩を少しずつ入れ、指か押し棒で押し固める
- 型のふちまで、隙間なく詰める
- 小皿をかぶせて、型ごとひっくり返す
- 型だけをそっと引き抜く
指で押し固めると、ひやりとした塩の粒が手のひらに残ります。型がなければ、濡らした手でおにぎりを握るように固めても、近いかたちになります。乾いて崩れやすいときは、霧吹きで少し水を含ませてから型に入れると、まとまりやすいです。逆に湿らせすぎると、型から出したときにだれてしまうので、少しずつ様子を見ながら調整します。梅雨どきや浴室の近くは湿気で溶けやすいので、置き場所の風通しにも注意が必要です。うまく固まると、角の立った白い山ができます。この角が崩れていく速さも、置き場所の湿度を知る目安になります。
置く場所は、どこがいいとされてきたか
玄関に置くのがいちばん多い置き方です。外から入ってくるものを、入り口で受け止めるという考え方に合っているからだと言われています。トイレや浴室のような水回りに置く家もあります。水にまつわる場所は特に気になりやすい、とされてきた場所です。台所や寝室、リビングに置く人もいて、それぞれ家族が集まる場所、休む場所として選ばれてきたようです。どこか一か所に決められないなら、まず玄関から始めるのがいいでしょう。
交換の時期と、捨て方
替える時期に、これといった決まりはありません。塩が湿気を吸って崩れてきたら、あるいはほこりが目立って気になってきたら、そこが替えどきだと考える人が多いようです。神社の参拝日に合わせて日を決めている家もありますが、こまめに様子を見て替えるだけでも十分です。夏は湿気で溶けやすく、冬は乾いて崩れやすいというのが実際のところです。使い終えた塩は、料理には使わず、水に流すか、そのまま処分します。
盛り塩に「効果」はあるのか
塩には、湿気や匂いを吸いやすいという性質があります。玄関の空気がいくらか変わったように感じられるとしたら、この性質も関わっているはずです。それが、盛り塩という言い伝えを長く支えてきた理由のひとつなのかもしれません。ただ、盛り塩そのものに邪気を祓う力があるかどうかを、私が請け合うことはできません。塩を置いて、様子を見て、替える。その一連の行為には、意味があると思っています。
風水的な見方をされることもある
盛り塩は、風水の考え方の中でも語られることがあります。方角や気の流れと結びつけて説明されることもあります。ここでは、各地に言い伝えとして残っている置き方だけを書きました。同じ盛り塩でも、家によってやり方が少しずつ違うのは、神道由来の穢れ祓い、商売繁盛の縁起物、風水の考え方と、複数の由来が重なって伝わってきたからなのかもしれません。
お香と組み合わせる
玄関に盛り塩を置き、そのそばで香を一本焚く。そうしている家もあると聞きます。塩は置いたままその場にとどまり、香は煙になって空間を巡っていく。性質の違う二つを並べているだけですが、どちらも同じように、場を整えるための道具として選ばれてきたものです。
手を動かす時間になる
塩を替えるたびに、その場所を見て、汚れていれば拭く。お香を作っている私にとって、盛り塩は火を焚くこととよく似た行為に見えます。何かが浄化されたかどうかより先に、その場所に手をかける時間が生まれる。この習わしが長く続いてきた理由は、そこにあるのだと思います。