お香で邪気払いはできるのか。神道のお祓いとの関係
お香を焚けば、神道のお祓いになるのか。半分は違うと、私は思っています。お香そのものは、神道ではなく仏教とともに日本に入ってきた文化だからです。
神社のお祓いで香を焚く場面は、思っているより多くありません。
お香は仏教とともに来た
香を焚く習わしは、仏教が日本に伝わったころ、大陸から一緒に入ってきたと言われています。仏前で香を焚くのは、仏さまへの供物であると同時に、その場を整える行為とされてきました。今も法要で焼香をするのは、この流れをくんでいるとされています。
神道のお祓いは、もともと塩と水と祓串
一方、神社で行われるお祓いは、もともと塩や水、祓串(はらえぐし)と呼ばれる道具を使うものでした。榊(さかき)の枝を振って場を清める作法も、古くから伝わっています。香を焚くことは、神道の作法としては本来あまり見られません。「邪気払いにお香」というイメージは、仏教のお線香と神道のお祓いが、暮らしの中で混ざり合ってできたものだろうと私は考えています。
混ざり合って、今のかたちになった
仏教と神道が長い時間をかけて暮らしの中で溶け合ってきたのが、日本の宗教文化です。玄関で盛り塩を見かけ、仏壇では線香をあげる。正月には神社に参り、葬式は仏式で行う家も珍しくありません。ひとつの家の中に両方があっても、誰も不思議に思いません。お香で邪気を払えるかどうかより、この混ざり合った習わし自体が、日本らしいところなのだと私は思っています。
私が香を焚くときに考えていること
お香を作っている身として、由来を厳密に分けることに、あまり意味はないとも思っています。火のつけ方はこちらに書きました。マッチを擦ると、硫黄の匂いがつんと鼻先をかすめ、煙がふっと目にしみます。手を動かして火を扱う、その時間のほうが、私にとっては大事です。