木漏れ日とは何か。読み方・意味と、英語に訳しにくい理由
木漏れ日とは、木々の枝や葉のすきまから地面に差し込む、細かく揺れる日差しのことです。読み方は「こもれび」です。
英語には、これを一語で言い表す言葉がないと言われます。日本語なら四文字で済む景色を、英語では一文かけて説明することになる。
「木漏れ日」という字が示していること
「木」が「漏」れる「日」と書きます。ここでの日は太陽そのものというより、日差しのことを指しているようです。木々のすきまから、日差しが漏れて落ちてくる。字の組み立てだけで、光景がだいたい想像できる言葉だと思います。
声に出すと、こ・もれ・び。三つとも訓読みで、音読みがひとつも入っていません。響きがやわらかいのは、そのせいもあると思います。
英語に一語で訳しにくいと言われる理由
英語には「sunlight filtering through the leaves」のような言い方はあっても、木漏れ日にあたる一語はないようです。そのため、英語に一語で言い表す言葉がない日本語として、海外向けの記事で木漏れ日が取り上げられることがあります。
これは、日本語だけが特別に優れているという話ではないはずです。ただ、光と影のあいだにある短い時間に、名前をつけて残しておこうとした人たちがいたのだと思います。
春から初夏、いちばん瑞々しく見える理由
木漏れ日は一年中見られますが、春から初夏にかけての新緑の時期がいちばん瑞々しく見えると言われています。芽吹いたばかりの若葉は薄く、光を透かしやすいからです。
光が若葉を透けて落ちてくると、地面に映る木漏れ日はうっすらと黄緑色を帯びます。夏になって葉の緑が濃くなると、同じ木漏れ日でも色の印象は違うものです。
木によって表情が変わる
木漏れ日は、木の種類によっても見え方が変わります。サクラやブナのような葉の広い木では、影が大きく揺れて、地面の光がやわらかく動く。杉や檜のように葉の細かい木の下では、光は小さな点になって散らばって見えます。
同じ木漏れ日でも、下に立つ木によってまったく違う顔を見せる。そこも、この言葉の面白いところです。
室内でも、木漏れ日に近いものを見ることはできる
森や林に出かけなくても、室内で似たような光を見ることはできます。レースのカーテンや、葉の細かい観葉植物越しに朝や午後の光が差し込むと、床や壁に木漏れ日に近い模様が映るものです。
似たことばもあります
木漏れ日と近い意味を持つことばに、木下闇(このしたやみ)があります。夏、葉が生い茂った木の下にできる、濃い影のことです。木漏れ日が光を指すのに対して、木下闇は影の側から同じ景色を見ていることばだと思います。
葉漏れ日(はもれび)という言い方もあります。木漏れ日とほぼ同じ意味で使われますが、木そのものより葉に注目した呼び方です。
木漏れ日の匂い
木漏れ日の下に立ったときの、少しひんやりした空気を覚えている方は多いと思います。光と一緒に、葉と土の匂いがしていたはずです。
私は福岡でお香を作っています。八女の杉の粉を合わせる日は、仕事場じゅうが森の匂いになります。木漏れ日が目で見る森なら、杉の香りは鼻で思い出す森なのかもしれません。
晴れた日の午後、レースのカーテン越しの光が床で揺れていたら、それも小さな木漏れ日です。そのそばで木の香りを一本焚いてみると、部屋の中に、少しだけ森が戻ってきます。
木漏れ日のころに焚くなら
木漏れ日が似合う香りを選ぶなら、やはり木や草の香りだと思います。
私が作っているお香は三つです。森を思わせる落ち着いた木の香りの八女杉。ほんのりとした甘さのある木の香りのパロサント。すっきりしたハーブ調のホワイトセージ。新緑のころの明るい光には、軽い甘さのあるパロサントが合う気がしますし、夏の濃い木陰には、杉の香りのほうが落ち着くかもしれません。どれがいいかは、その日の光と気分で決めてかまいません。
私が作っているお香はこちらにあります。お香の作り方についてはお香の作り方の記事、似たような言葉については桜色の記事にも書きました。