いい匂いのお香はどれ?香りの系統で選ぶおすすめ
いい匂いのお香はどれか。私の答えは、香りの系統によります、です。同じ香りでも、好きだと感じるかどうかは、人によって、そのときの気分によって、驚くほど変わるからです。順位をつけて並べるより、系統ごとの印象を書いていくほうが、選ぶ手がかりになると私は考えています。
木の香りの系統
白檀は、甘く落ち着いた香りで、香木の中でも長く親しまれてきたとされています。沈香は、白檀よりも複雑で奥行きのある香りとされ、希少なため高価なものが多いと言われます。杉や檜は、日本の森を思わせる清涼感のある香りです。私が作っているお香では、木の香りは八女杉です。木の香りは主張が強すぎないものが多く、何かをしながら焚く時間に向いていると思います。
樹脂やハーブの香りの系統
パロサントは南米で聖なる木として扱われてきた樹木で、甘く温かみのある香りがします。ホワイトセージは北米の先住民が儀式に用いてきたとされるハーブで、すっきりとした香りが特徴です。私が扱っているのはこの二つです。乳香は、古代から祈りの場で焚かれてきたとされる樹脂で、ウッディでかすかにスパイシーな香りだと言われます。樹脂やハーブの香りは木の香りより存在感がはっきりしている分、香りそのものに意識を向けたい時間に向いていると思います。
甘さや爽やかさが際立つ系統
ラベンダーは、穏やかで甘さのあるハーブとして名高い香りです。柑橘系の香りは爽やかで軽く、朝や来客時に好まれることが多いと言われます。どちらもお香というよりアロマの世界でよく語られる香りですが、系統として知っておくと、自分の好みを言葉にしやすくなります。
- 木の香り: 白檀・沈香・杉・檜。落ち着いた印象
- 樹脂・ハーブの香り: パロサント・ホワイトセージ・乳香。存在感がはっきりしている
- 甘さ・爽やかさの香り: ラベンダー・柑橘。軽さがある
沈香の中でも、伽羅という最上位
沈香の中でも、伽羅と呼ばれるものが最上品です。香道では、香りを「嗅ぐ」ではなく「聞く」と言い表す文化があり、伽羅はその中心に置かれてきた香木だと言われます。値段も特別ですが、それだけ希少だということでもあります。系統としては木の香りの延長線上にありますが、格が違うと語られる存在です。
場面によって、向く系統も変わる
朝は、柑橘やホワイトセージのような軽い香りが、頭を切り替える時間に合うと思います。仕事や読書に集中したい時間には、杉や檜のような木の香りが、香りに気を取られにくく、おすすめです。夜、一日の緊張をほどきたい時間には、パロサントや白檀のような甘さのある香りをすすめています。来客があるときは、香りが強すぎない木の系統のほうが、会話の邪魔をしないと思います。
「いい匂い」は、人と部屋で変わる
同じ一本でも、狭い部屋と広い部屋とでは香りの感じ方がまるで違うのです。体調によって、強く感じる日もあれば、物足りなく感じる日もあります。だから私は、万人にとっての「いい匂い」を決めることはできないと思っています。系統を知ったうえで、自分の部屋と気分に合わせて選び直していくものだと思うのです。
はじめてなら、系統を比べられるものから
初めて選ぶなら、一種類に絞る前に、系統の違うものを比べてみることをすすめています。私が用意しているのは、パロサント・ホワイトセージ・八女杉の3種を少しずつ試せるアソートセットです。焚くたびに、どちらの系統が今の気分に近いか、なんとなく覚えておくと、次に選ぶときの手がかりになります。天然の原料かどうかは、パッケージに植物の名前が具体的に書かれているかが手がかりになります。
好みは、季節や年数で変わっていく
今は甘い香りが好きでも、来年には木の香りに惹かれているかもしれません。香りの好みは、そのときどきの暮らし方によって変わっていくものだと思います。一種類に決め切らず、時々ちがう系統を焚いてみることを私はすすめています。
いい匂いのお香を一つに決められなくても、心配はいりません。今日はどの系統の気分か、それだけ考えれば十分だと私は思っています。系統さえ決まれば、あとは焚いてみて確かめるだけです。原材料表示の読み方はこちらの記事に、天然素材の見分け方はこちらの記事に書きました。私が作っているお香は、こちらにあります。