来客を迎える前に、お香で香りを整える
来客の前にお香を焚いて、着いたころには香りだけがほのかに残っている。空薫(そらだき)と呼ばれるこの作法では、来客の少し前に焚き終えて、窓を開けておくのがよいとされています。煙を人に見せるのではなく、消えたあとの余韻だけを残す。それが日本のおもてなしの考え方だと言われてきました。香りだけを先に届けておくことで、来客は部屋に入った瞬間、身構えることなく迎えられると考えられています。
煙ではなく、残り香でお迎えする
火を消したあとの空気には、焦げた匂いではなく穏やかな香りだけが残ります。焚き終えたら窓を少し開けて、こもった煙を先に逃がしておくと、香りだけが柔らかく漂うようです。煙そのものを見せてしまうと、香りより先に「焚いている最中」という気配のほうが気になる方もいます。
玄関とリビングで、香りを変えてもいい
玄関には軽い香りを、長く過ごすリビングには落ち着いた香りを。そんなふうに、場所で使い分けるのもいい。白檀のような穏やかな香りはどちらの場所にも合わせやすく、杉の香りは、自然や外のものを好む相手に向いています。季節や来客の顔ぶれに合わせて、香りを少しずつ変えるのも楽しみのひとつです。
香りは一本、控えめに
おもてなしのつもりで何本も焚くと、かえって香りが強くなりすぎます。一本で十分だと私は考えています。何本も焚いて香りを強くするより、一本を丁寧に焚くほうが、かえって上品な印象になると思います。火の扱い方は焚き方の記事に書きました。
食事の席では、火を消しておく
料理の香りを楽しむ時間には、お香は焚かないほうがいいと私は思います。食事が始まる前に一度火を消して、空気を入れ替えておく。香りは食事のあとに、もう一度楽しんでもらう。そういう順番でもかまいません。おもてなしの主役は、あくまでその日の料理と会話だと思うからです。
香りの系統ごとの違いはこちらの記事に、お香ができるまではこちらの記事に書きました。私が作っているお香は、こちらにあります。