お香に効果はある? 焚くメリットと、香りで変わることを香司が答えます
お香に効果はあるのか。お香を作っている私の答えは、薬の代わりになるものではないけれど、焚くことで確かに変わるものはある、です。
変わるのは、体の中ではありません。時間の使い方と、部屋の空気です。
香りは、考えるより先に届く
においの情報は、目や耳から入る情報とは違う道筋で、気持ちや記憶に関わる脳の部分に届くと言われます。何年も前に通っていた家の匂いを、ふとした拍子にかいで、そのころのことを一気に思い出す。香りがほかの感覚と少し違って感じられるのは、そのせいでしょう。
同じ香りでも、好きな人と苦手な人がはっきり分かれるのも、においが理屈より先に届くからでしょう。お香の「効果」を考えるときは、まずこの個人差を前提にしておきたいところです。
よく言われる五つのこと
お香の効果として、よく挙げられるものが五つあります。落ち着く、集中できる、よく眠れる、匂いが消える、場が清まる。それぞれ、実際に起きていることを分けて考えてみます。
落ち着く、というのは、好きな香りの中で手を止める時間ができることが大きいと思います。灯りを落として一本に火をつければ、少なくとも燃え尽きるまでは急ぐ理由がなくなる。そのための焚き方は一日の終わりの記事に書きました。
集中できる、は、香りそのものより、合図としての働きです。仕事や勉強を始める前に、毎回同じ香りで火をつける。それを続けると、火をつけることが「ここから始める」という区切りになっていきます。くわしくは仕事前の一本の記事に。
よく眠れるかどうかは、私からは言えません。寝る前に焚くなら、香りより先に、火が消えたことを確かめて布団に入ること。寝室での注意はこちらにまとめています。
匂いが消える、というのは、多くの場合、別の香りで上書きしているだけです。部屋の匂いが気になるなら、先に窓を開けて換気し、そのあとで焚くほうがいい。匂い消しの記事にも書きました。
場が清まる、は、もともと仏教で香が身と場を清めるものとして焚かれてきたことから来ている言い方です。家で焚くなら、掃除をして、窓を開けて、それから火をつける。この順番そのものが、部屋の空気をはっきり入れ替えてくれます。
焚くメリットは、区切りができること
お香のいちばんの良さは、始まりと終わりがあることだと私は思っています。
一本に火をつければ、燃え尽きるまでの時間が決まる。スマートフォンを置いて、その間だけは香りと煙を見ている。何もしない時間を、自分に許すための理由になってくれるのが、お香という道具です。
何を燃やしているかで、感じ方は変わる
香りの強すぎるお香で、頭が痛くなったり、気分が悪くなったりする人もいます。原料が書かれていないお香だと、何が合わなかったのか確かめようがありません。
焚くなら、何でできているかがわかるものを選んでほしい。見分け方は無添加のお香の記事に、頭が痛くなったときのことはこちらに書きました。
効果を確かめたいなら、同じ香りを、同じ時間に、何日か続けて焚いてみてください。そのうち、火をつけることそのものが一日の合図になっているのに気づくと思います。私が作っているお香は、こちらにあります。